そのゆりかごは千葉にあった
社台ファーム 千葉県富里市七栄５３２
馬の生産部門が次々と千葉の地を去っていくなかでもっとも惜しまれたのは、当時から広い敷地を構えていた社台ファームが、その経営的な軸足を北海道に移したことでしょう。社台ファームはサラブレッド生産の魅力に目覚めた吉田善助氏が、ダービー馬の生産を目指して戦前の1939年に印旛郡（現在の富里市ほか）に開設した伝統ある牧場です。継承した善助氏の三男・吉田善哉氏は、やがて社台ファームを大きく発展させ、そのマネージメント手腕を千葉から国内外へ知らしめた人でした。
現在は、善哉氏の３人の子息が「社台グループ」を形成。長男の吉田照哉氏（現千葉県両総馬匹農業協同組合長）が社台ファームの名称を受け継ぎ、ノーザンファームを擁する吉田勝己氏、追分ファームを擁する三男の吉田晴哉氏が、雄大な環境の北海道を中心にそれぞれ特徴ある牧場経営を展開しています。
いずれの牧場も広大な放牧地と育成施設、高い技術を誇るスタッフ、そして良血の繁殖牝馬を有し、さらにはグループとして国内外の名種牡馬を取り集め、いまや押しも押されもせぬ世界的サラブレッド生産グループのひとつに数えられるまでになっていることは皆様もご存知のとおりです。
アズマの冠に恥じぬ「勝ちに行く」馬づくり
出羽牧場 千葉県成田市南三里塚319
別の名を「東牧場」。いまでも競走馬の生産・育成を続けるファームです。'82皐月賞の「アズマハンター」を創出、'90スプリングで活躍後、種牡馬となった「アズマイースト」を繁養したことなどから業界では「アズマ」の冠で知られています。'61年の創立で代表は出羽龍雄氏。「レースに強い馬づくり」を目指しており、これまでに「ターファイト」（サラブレッド生産牧場を経営する共同馬主クラブ）などで4勝を飾った牝馬「アミダラ」や「アズマハンター2世」などを創出しており評価を高くしています。
千葉トレーニングセールで馴染みのトレセン
下河辺トレーニングセンター 千葉県香取市高萩12-1
'90年に設立されました。緑が多く閑静な環境は馬にとってリラックスできます。その立地を生かして競走馬の生産から育成、調教までを行っている総合牧場（面積9.9㏊ ・放牧場６面・800mダートコース・300m販路など）です。
具体的には、サラブレッド１歳馬の馴致育成をはじめ現役競走馬の放牧・調整（トレーニング）休養、故障馬の治療（リハビリ含む）など種々ニーズに応えながら行っています。
また、牧場繁養の繁殖牝馬による独自の軽種馬生産も推進しており将来へ期待されています。センターでの産駒は毎年５月船橋競馬場で行われる1歳から２歳馬のサラブレッドセール「千葉トレーニングセール」のほか、駿馬を選ぶセレクトセールや馬産地北海道でのセリ市場などへ積極的に上場し、千葉の生産馬で評価を高くしています。
親しまれる馬の総合レジャー施設として開放
篠原ファーム 千葉県富里市中沢1161
'53年競走馬の生産・育成施設として設立され、60周年を迎える日も近くなりました。広さ19㏊の牧場では主に放牧、調教などを行っています。また'04年からは多角経営を目指して「ホースパーク」が併設され、乗馬クラブを中核とした「馬の総合レジャー施設」として一般にも開放されており、人気のスポットとなっています。
角馬場や放牧場など8面あり、ロッカーやシャワー室などを備えたクラブハウスも完備して、初心者の乗馬レッスンや本格障害馬術レッスンなどが行われています。
日本競馬史上初無敗の3冠馬シンボリドルフのふるさと
シンボリ牧場 千葉県成田市大栄十余三245-261
日本ダービーなどのクラシック三冠や天皇賞や有馬記念制覇など、七冠馬として名高いシンボリドリフやシリウスシンボリをはじめ多数の優駿馬を輩出し、早くから競走馬生産及びオーナーブリーダーとして国内外で知られています。
昭和元年に和田孝一氏が開場（敷地面積30㏊・厩舎４棟・放牧場２面・１周1800ｍダートコースほか）、その後を息子の和田共弘氏が継承し、同氏は日本を代表する競走馬の生産者として業界に名を残しています。現代表は同氏の長男和田孝弘氏で、北海道日高や岩手県種市などに関連牧場を有し、現役競走馬の調教や休養、デビュー前の若駒の騎乗訓練から育成調教などの事業を主に行っています。
ＪＲＡの美浦トレーニングセンターに近い立地を生かして調教師との連携を図り、その馬の状況に合わせた調教・調整が行われているため多くの競走馬が利用します。また、トレーニングセール上場馬の調整から追い切りまでの調教などでも効果を上げています。
厩舎との連携で入厩2週間でのスムーズな出走を可能に
千代田牧場 千葉県山武郡芝山町岩山2339
「すべては馬のために」をモットーに、生産・育成を中心とする北海道牧場と、入厩を控えた2歳馬の調教と現役馬の休養を主体とする千葉牧場の2場体制で、日々強い馬づくりを研究しています。
主に美浦・栗東両トレセンからの休養、短期放牧馬を扱う千葉牧場では、トレセン入厩後10日〜2週間でのスムーズな出走が可能となるよう、入念な乗り込みとケアを行っています。毎年多くの2歳馬が最短5日から10日前後でゲート試験に合格し、夏から秋にデビューできるのも、北海道―千葉―厩舎の間の連携がうまく機能しているためです。
引退競走馬を障害競技馬で育成、若い後継者の指導も
ナルタ牧場 千葉県富里市中沢1069
預かった競走馬の調教や育成を主に行っている牧場です。'59年の創立で場長は鳴田啓志氏。600ｍ〜450mのトラックや直線坂路などの馬場、30の馬房、各種マシーンなどのほか、オゾン水洗浄によって競走馬を皮膚病や脱毛皮膚炎などの病原菌からまもる「オゾン水殺菌脱臭システム」を備えています。競馬を引退した馬を障害競技馬に育成するなどして一般愛好者に乗ってもらう「乗馬クラブ」も開設、方向転換した牧場の理解を深めています。
一方、20歳代の若者たちが住込みで働いています。預かり馬の調教管理は日ごろ専従員が中心で行っていますが、若者たちも場長や先輩従業員の指導を受けながら手伝います。彼らは、将来ＪＲＡの厩務員など競馬関係の仕事を目指す全国から集まった後継者たちで早朝の厩舎掃除から馬場での調教、自身の勉強も怠らず干草にまみれ頑張っています。
JRA厩務員合格者へ 学費補助で後継者づくり
若草畜産 千葉県富里市十倉911
預かった競走馬の調教や育成を主に行っている牧場です。'59年の創立で場長は鳴田啓志氏。600ｍ〜450mのトラックや直線坂路などの馬場、30の馬房、各種マシーンなどのほか、オゾン水洗浄によって競走馬を皮膚病や脱毛皮膚炎などの病原菌からまもる「オゾン水殺菌脱臭システム」を備えています。競馬を引退した馬を障害競技馬に育成するなどして一般愛好者に乗ってもらう「乗馬クラブ」も開設、方向転換した牧場の理解を深めています。
一方、20歳代の若者たちが住込みで働いています。預かり馬の調教管理は日ごろ専従員が中心で行っていますが、若者たちも場長や先輩従業員の指導を受けながら手伝います。彼らは、将来ＪＲＡの厩務員など競馬関係の仕事を目指す全国から集まった後継者たちで早朝の厩舎掃除から馬場での調教、自身の勉強も怠らず干草にまみれ頑張っています。
脱サラ「親子二人三脚」の頑張りで産駒維持
山田牧場 千葉県富里市御料623-2
戦後から50頭以上の競走馬を生産してきたという産駒の名門です。周囲から馬の生産が影を落としていく中で生産に見切りをつけようとした父親山田博司氏の後を継いで、脱サラした息子の山田雅章氏が経験豊富な父親の指導を受けながら経営に当たっています。
雅章氏はスタートに際して牝馬1頭を導入したそうですが「親子二人三脚」の頑張りは実を結び導入牝馬からは次々と若駒も誕生して″産駒牧場″の伝統を守り続けています。
若駒〜競走馬へ 育成を経て重賞をめざす
㈱大東牧場 千葉県市原市西国吉658
'54年に設立されました。東京湾アクアラインや圏央道木更津東ICから間もない上総の自然が豊かに残る環境にあります。主事業は北海道のユートピア牧場で生産された若駒を同牧場へ移送、競走馬として育成（調教・アフターケアーなども）した後、馬をユートピア牧場と共同所有し、中央・大井・船橋・川崎競馬などで出走させる形を取るオーナブリーダーです。
また、中山・大井・船橋・川崎など各々レース場へ約１時間でアクセスできる好立地は出走前にした競走馬の育成・休養などには最適であることから、これら競走馬の持ち込み要望にも応えており人気です。牧場総面積20㏊、施設では角馬場２面・1200mの周回ダートコース・800mウッドチップ販路コースなどのほかウォーキングマシン４基や練習用ゲートも完備しています。
